学校法人の基本金とは

学校法人会計基準と一般的な企業会計基準の違いとして、基本金という考え方が挙げられます。学校法人は、その実態に沿って1〜4号の基本金を計上することになっているのです。

 

ここで、基本金についてどのようなものなのか説明したいと思います。

 

 

 

 

学校法人の基本金

 

基本金は、貸借対照表の純資産の部に計上されます。1〜4号までの基本金がありますが、その合計額は非常に大きな数値となるケースがほとんどです。

 

1号基本金とは

1号基本金とは、有形固定資産を自己資金で取得したときに組入れることとなる金額のことです。

 

 

ここで重要なのは、「有形固定資産」「自己資金」という2点です。

 

例えば、1億円の校舎を学校法人の自己資金で取得したとします。この場合、組入れられる1号基本金の額は1億円です。自己資金で有形固定資産を取得した場合そのものですので、1億円全額を1号基本金として計上することになります。

 

 

しかし、資産を取得する手段は自己資金だけではありません。例えば、銀行借入などで賄うことができます。極端な例ですが、1億円全額を銀行借り入れで賄った場合、組み入れられる1号基本金は0円になります。あくまでも1号基本金は、自己資金で有形固定資産を取得した場合に組入れられることになるのです。

 

また、このように銀行借り入れによって校舎を取得した場合でも、将来的には1号基本金の組み入れを行うことになります。銀行に借入金を返済していくに従い、その金額分を1号基本金に組入れることになります。借金を返済することによって、実質的にはその額の自己資金で有形固定資産を取得した場合と同様とみなすことができるからです。

 

 

さらに、一部でも自己資金を使って有形固定資産を取得したならば、1号基本金が組み入れられます。
例えば、1億円の校舎の半分を自己資金で、半分を借入金で取得したとすれば、1号基本金の組入れは5,000万円です。そして、借入金返済にしたがって更に1号基本金の組み入れが行われることになります。

 

 

 

そして、1号基本金の特徴は、基本金の中でも金額が非常に大きいことです。

 

有形固定資産の取得に伴って計上されるため、その他の基本金と比較しても大きな額が計上されるケースが多いです。1号基本金だけで基本金全体金額の9割以上を占めるというケースもザラにあるといえます。

 

 

2号基本金とは

2号基本金とは、固定資産を将来的に取得する計画があるとき組入れていく金額の事です。

 

1号基本金と似ていますね。有形固定資産に関わっているという部分は、基本金の中でも1号と2号基本金に共通するものです。しかし、1号基本金は取得の際に計上されるものだったのに対し、2号基本金は計画を立てた際に計上されるという点で相違します。

 

計画を立てるというのは、理事会などでの正式な機関決定を必要とすることに注意が必要です。

 

 

3号基本金とは

3号基本金とは、計画に基づき研究や奨学の基金が増加するときに組入れる金額の事です。

 

1号基本金と2号基本金は、固定資産に関わる基本金でした。一方で、3号基本金は固定資産とは関係なく、基金の増加に伴って組入れることとなる基本金です。このような性質の違いから、3号基本金の金額は1号及び2号と比較して非常に小さくなるケースがほとんどです。というのも、1号及び2号基本金は固定資産に関わって発生するため金額が非常に大きいからです。

 

 

 

4号基本金とは

4号基本金とは、学校運営に必要な運転資金額のことをいいます。

 

ここでいう運転資金額とは、学校を1か月運営する上で必要な運転資金の金額を意味しています。この1か月分の運営に必要な運転資金とは何かという部分が問題になりますが、これはおよそ昨年度の人件費・経費・支払利息の合計(現金支出を伴うもの)の合計を12で割り1か月分に換算したもののことを指します。

 

イメージとしては、学校を1か月運営する上で支払う現金という形になります。

 

計算上の注意点としては、経費の中に減価償却費は含まないという点です。減価償却費は学校のような固定資産が多くを占める法人の場合多額となりますが、現金支出を伴いませんので運転資金計算には含めません。

 

4号基本金を組入れる理由としてはシンプルで、学校外部の人間から見て最低限の学校の安全性を確認することができるからです。もし1か月分の運転資金もないとしたら、学校は非常に危険な状態だという事になりますよね。よって、4号基本金を組入れ貸借対照表に表示することで、安全性を示すことになるのです。

 

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